秀英体のコネタ
2005年06月21日
第8回 活字の宇宙の中の秀英体
『活字の宇宙 Robunndo Type Cosmique』
2005年6月20日(月)~7月下旬 青山ブックセンター 六本木店
- 出品内容
- 朗文堂:既刊書の展示・販売(品切れ書の特別展示を含む)/朗文堂:ポスター判金属活字見本帳(森川建一氏提供)ほかの復刻販売/朗文堂:タイポグラフィによるポストカードの展示・販売/トランスアート:『秀英体研究』特別展示・販売/リョービイマジクス/朗文堂:デジタル・タイプの展示・販売/金曜かい有志:タイポグラフィックなTシャツの展示・販売
協力:株式会社トランスアート/リョービイマジクス株式会社/新宿私塾/金曜かい
青山ブックセンター六本木店で、「活字の宇宙」と題し、文字にまつわる本のフェアが2005年6月20日から7月下旬まで開催されています。なんとそちらに『秀英体研究』も置かせてもらえるということで、初日にさっそくおじゃましてきました。
青山ブックセンター六本木店の入口からまっすぐつきあたりでフェアは開催されています。
かなり広いスペースがフェアに使われています。
まず目に入るのは、中央に設置された透明の大きなケースです。この中には、『秀英体研究』とその箔押しに使った版、写研の秀英明朝SHMのメインプレート、島屋政一『本木昌造伝』(朗文堂)などが展示されています。
いました!『秀英体研究』です!
ここに飾ってある銅版は、函や表紙にあしらわれた花形装飾活字の版です。『秀英体研究』の巻末にも記載されていますが、この花形活字は明治36年に秀英舎鋳造部製文堂が発行した活字見本帳『活版見本帳 Type Specimens』に掲載されていた第34番をデジタル化したものです。奇しくも『活版見本帳 Type Specimens』の発行から、ちょうど100年が経っていました。
この版は腐食銅板ですがタイトルなど文字の箔押し版は手彫真鍮版です。
ちなみに『秀英体研究』では3色の箔を使用しています。表紙のタイトル・著者名はゴージャスな印象の金26番、表紙の花形活字と背のタイトル・著者名は白の強い上品な金105番、背の花形活字は艶消し金2番を使用しました。
表紙などに使用した版
もちろん展示されているだけでなく、実際に販売して頂いております。『本木昌造伝』、堀辰雄『花あしび』(朗文堂)など、しっかりとした装幀の本のそばに並んでいました。
となりには『本木昌造伝』が。夢のコラボ。
参考として展示されていたタイポグラフィTシャツは、フェアのそばの天井に飾られています。
タイポグラフィTシャツコーナー
なんと!秀英体Tシャツもありました。昭和4年に発行した活字見本帳『明朝初号活字見本帳』からひら仮名のページがTシャツになっています。となりは平野富二の平野活版製造所(のちの東京築地活版製造所)のマークです。
秀英舎Tシャツ(左端)と平野活版Tシャツが仲良く並んでいます。
タイポグラフィポストカードセットも販売されています。とっても美しい写真です。その下には「文字百景」の合本と『花あしび』、朗文堂と今田欣一さんが製作したデジタルタイプ「和字」シリーズや「正調明朝体」などが展示してあります。デジタルタイプは購入もできるそうです。
トラヤヌスの碑文など数種類のカードがセットになっています
こちらは岩田母型と森川龍文堂の活字見本ポスターです。
どちらとも、大サイズから小サイズまで、書体もいろいろ、盛りだくさんに詰め込まれているポスターです。なかなかかっこいいです。
岩田母型(左)と森川龍文堂の活字見本ポスター
朗文堂コーナーには『ヴィネット』のバックナンバーも揃っています。
最新号の13号からは内容もリニューアルされたそうです。新連載の組版講座というのが気になります。
- ※詳しくは朗文堂のサイトをご覧下さい。
『ヴィネット』のバックナンバーも揃っています。
最近出版され話題の、 エドワード・ジョンストン著・遠山由美訳『書字法・装飾法・文字造形』(朗文堂)と府川充男『聚珍録』(三省堂)も並んでいます。奥にある小さな2冊の本は井上嘉瑞『井上嘉瑞と活版印刷』(印刷学会出版部)の著述編・作品編です。
井上嘉瑞さんは欧文組版を得意とする活版印刷会社嘉瑞工房の創設者です。
『書字法・装飾法・文字造形』と『聚珍録』、『井上嘉瑞と活版印刷』
欧文関連の本や、フリーフォント、フォントのハウツー本も勢ぞろいしています。
欧文関連書籍
フリーフォント関連書籍
漢字の神様・白川静さんの著作も並んでいます。
『字統』『常用字解』『白川静著作集』(いずれも平凡社)など代表的なお仕事が並びます。『別冊太陽 白川静の世界―漢字のものがたり』(表紙に秀英初号が!)もあります。
白くきりっとした一角です。
さすがの白川静コーナー
そのそばには、文字といえばはずせない、杉浦康平さんのコーナーも設けられています。
『本とコンピュータ』2002年秋号や、『疾風迅雷―杉浦康平雑誌デザインの半世紀』、そして最新の『アジアの本・文字・デザイン――杉浦康平とアジアの仲間たちが語る』などが並んでいます。
- ※いずれも『秀英体研究』と同じくトランスアートが販売しておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。(宣伝)
杉浦康平さんの新刊は内容充実してますよ!
タイポグラフィに関係する本は、デザイン・日本語・コンピューター・歴史・洋書などバラバラに置いてあり、なかなかまとまっていなかったりします。定番の本から新しい本、話題の本までバラエティに富んだ組み合わせ(そして『秀英体研究』も!)のフェアですので、みなさまぜひ足を運んでみてください。
新潮文庫のYondaちゃんがタイポグラフィTシャツを欲しそうな顔をしています。
(2005.6.21 佐々木)