秀英体のコネタ
2006年12月22日
第21回 2006年も大正3年『活版見本帖 Type Specimens』から年賀状を作ろう!
お正月まで最後の週末となりました。みなさん、大掃除やクリスマスやお餅の準備は万端でしょうか。
今回の秀英体のコネタは、一年間のご愛顧に感謝いたしまして、秀英舎・大日本印刷が誇る最大規模の見本帳、大正3年版『活版見本帖 Type Specimens』から、来年の干支であるいのししや冬・新春らしい柄などをピックアップいたしました。
まだ年賀状を作っていない方、昨年の「第14回 大正3年『活版見本帖 Type Specimens』から年賀状を作ろう!」と併せ、ぜひご活用ください!
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2007の干支、いのしし集合! といきたかったのですが……
来年の干支はいのしし。というわけで見本帳をなめるように探したのですが、昨年の犬とはうって変わって、いのししがいません! いのししは干支ぐらいでしか出版物には登場しないようです。
しかしキュートないのししも発見しました。
来年を飾る3頭のいのししたちです。
枯木立を駆け抜けるいのししです。足取り軽やかに、2007年を駆け抜けます。
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ほのぼの系のかわいらしいいのししです。
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こちらは少しきりりと。木版画のような線の味わいがあります。
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お正月らしいおめでたい絵柄
羽子板もお正月らしいイメージですよね。
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お正月のお飾りも準備しないといけません。
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初夢縁起のひとつにも数えられる鷹も、年賀状にはうってつけです。
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冬の厳しい寒さをものともせず緑と花をつける歳寒の三友・松竹梅は、おなじみのめでた柄です。
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新春柄、そして仲良し柄
冬の食材として、そしておせち料理にも使われる大根とくわい。素朴な年賀状にどうぞ。
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手毬は江戸時代から戦前まで、女の子のお正月遊びの定番だったそうです。
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まだ寒いうちからつぼみをつけるたんぽぽは春の顔です。
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すくすく伸びるつくし。うららかな春を思わせる絵です。
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木蓮も春を告げる花。ふわふわした産毛に包まれた芽もかわいいですよね。
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梅と一緒の登場が多い鶯ですが、こちらは菜の花と。
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寒そうに羽根をふくらませたうずら。二羽で仲良く身を寄せ合います。
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少しヨーロッパの香りのするつがいの鳩。ご夫婦の年賀状にいかがでしょう。
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「あけましておめでとうございます」を秀英体で!
絵が決まったら、ご挨拶のテキストです。
大正3年『活版見本帖 Type Specimens』に掲載されている SIX-LINE PICA ELECTRO ORNAMENTED で「A HAPPY NEW YEAR」をどうぞ。
こちらは秀英舎の古い見本帳に掲載され、現在も市谷工場の母型庫に鋳造された活字も残っています。明治期に海外から輸入したか、秀英舎内で作ったものかは定かではありませんが、100年以上秀英体とともに一緒にいた欧文活字です。
アルファベットに植物の飾りがついた豪華な書体です。
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そして絵に添えることばをぜひ秀英体で!
まずは昭和4年発行の『明朝初号活字見本帳』より秀英初号の漢字です。
写植をご存知の方であれば、写研の「秀英明朝 SHM」としておなじみの秀英初号。SHMの開発も、この昭和4年の見本帳を元に進められたそうです。
秀英体最大サイズとして、タイトルや見出し用途で開発されたその形は、安定感のある引き締まった線質が特徴です。
年賀状では明朝体を使うことはあまりないですが、
この「謹賀新年」はかなりきりりとした表情になりますよ。
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続いては仮名で、秀英初号と秀英細明朝体です。
この2書体、昨年も同じように登場しましたが、実は今年の文字は昨年のものとはひと味違います。どう違うか詳しくはまだご報告できないのですが、コネタをご覧頂いているみなさまに特別にご紹介する最新の秀英体です。
あっという間の2006年も、さまざまなかたちで秀英体をご紹介することができました。
書籍や雑誌だけでなく、街角の看板や広告物での使用もありました。また、ハイビジョンアーカイブやDVDの表示用字幕としての使用も、少しずつですが生まれてきた年となりました。
東京国際ブックフェアでの直彫り・ゲラ刷りの実演は、たくさんのご来場を頂いただけでなく、大きな反響もありました。忘れられない思い出です。
来年も、秀英体の取組みをご紹介してまいります。2007年も秀英体をよろしくお願い致します。
よいお年を!
(2006.12.22 佐々木)